脊柱管狭窄症とも間違いやすい多発性神経炎

脊柱管狭窄症とも間違いやすい多発性神経炎

坐骨神経痛の原因となる腰痛症に脊柱管狭窄症がありますが、この脊柱管狭窄症に似た症状を呈する疾患に多発性神経炎があります。坐骨神経痛や脊柱管狭窄症と勘違いする場合もありますが、これらの腰痛とは全く別の病気ですので、下肢にしびれが生じた場合は注意して診察を受ける必要があります。

なお多発性神経炎と呼ばれる神経疾患は、ギランバレー症候群と慢性炎症性脱髄性多発神経炎とに大別されます。ギランバレー症候群も坐骨神経痛と勘違いしやすい神経疾患ですが、ここでは後者の慢性炎症性脱髄性多発神経炎(多発性神経炎)について整理してみることにします。

多発性神経炎が発症する原因はまだ解明されていませんが、自己免疫によって脱髄が起こり発症すると考えられています。脱髄とは、神経線維を包んでいるミエリン鞘が変性脱落する疾患のことを言います。
ただしひとつ言えるのは、多発神経炎は脱髄によって発症するも、原因はそれだけにあるのではなく、治療による反応が症例によって差があることから、複数の病因が重なって起きていると考えられます。

多発神経炎と坐骨神経痛、脊柱管狭窄症が似ている点は、しびれや筋力の低下、また感覚鈍麻がみられる点にありますが、脊柱管狭窄症の場合はその症状は下肢に限定されます。多発神経炎の場合は四肢にあらわれるので、病状が進行してくると一般の方でもただの腰痛症ではないと判断できるでしょう。

また多発神経炎では、腱反射が鈍くなったり複視があらわれる場合もあります。さらに病状が進むに連れて、廃用性筋萎縮や神経原性筋萎縮などが出てくることもあります。なお症状は一時的に寛解することもあるのですが、完治しない限り再び悪化してきます。

多発性神経炎は、幼児から高齢者まで、年齢に関係なく発症し、急性のもの、慢性のものと発症の仕方も様々です。下肢のしびれが多くは基本的に坐骨神経痛と疑われるわけですが、神経疾患には多発性神経炎のような難しい疾患もあるということを知っておくと良いのではないでしょうか。