腰痛治療とオステオパシー

腰痛治療とオステオパシー

腰痛について調べていくうちに、ふと気になりました。

昔々、CT検査もMRI検査もない時代では、腰痛をどのようにして治療していたの?

そんなことが気になって、腰痛の歴史をキーワードに検索してみました。すると、何やら聞き慣れない「オステオパシー」という名前がでてきました。そこで腰痛の歴史を探る前に、少し「オステオパシー」について触れてみることにします。英語で「osteopathy」は、もみ治療、整骨治療という意味だそうです。

整体療術のひとつで、今から140年前(1871)アメリカの医師スティルが創始しました。ギリシア語を語源として「骨の病理」という意味があり、スティル博士は、病気の原因を骨の異常と結びつけて考え、骨格の異常、筋肉や腱の異常、内臓の転移、神経や血管の異常、リンパの停滞の5項目をあげて、それぞれに応じた治療法を臨床に応用しました。アメリカでは医学療法として実績を積んでいますが、日本では、手技療法のみ伝達されてきたようです。

オステオパシーは単なる療法ではなく、医療哲学体系を示していて、その哲学は、①身体は自己調節機能を持つ、②機能と構造は相互に作用する、③身体はひとつのユニット、などという考え方に根ざしています。その上で、身体全体の歪みや制限を調べて、そのつながりを解きほぐすことによって自然治癒力を回復させる施術であると言われています。

また、病気は、椎骨の構造的、機能的な歪みが原因と考えた整体術のカイロプラクティックも1895年にアメリカで生まれました。オステオパシーが登場して24年遅れということになります。共通点は、どちらもギリシア語を語源としていること、どちらも一部を除いて諸外国では、施術者資格が法制化されていること・・・などでしょうか。日本では、どちらも法制化されていません。WHOでは、カイロプラクティックを代替医療として位置づけられています。

オステオパシーを施術する人をオステオパスと呼び、アメリカでは、Doctor of OsteopathyD.O.)、すべての州で医師免許を認可されています。一方、カイロプロクターには医師免許はありません。どちらかというと整体というと東洋の民間療法という感がしますが、西洋でも行われていたのは紛れもない事実です。

では、按摩の歴史はどうなのでしょうか。日本でのあん摩マッサージ指圧・鍼灸師は、免許もしくは医師免許を取得していなければ職業として行うことができません。マッサージは日常生活の中から生まれてきました。例えば、母親が、子どもが痛いと訴える部位を撫でたり、さすったりすることで子どもの痛みが和らいだり、自分自身の身体を揉んだり、さすったりすることで、楽になることを数多く経験しています。そのような経験則から、より専門的な技術に発展したのが按摩術の原点だと考えられており、中国の世界最古の医学書にも按摩という言葉が使われているようです。日本では、奈良時代には按摩が存在していたことが伺われます。江戸時代になると、按摩術にも流派が生まれてきますが、現在では流派を名乗ることは法律上許可されていません。

また、現在、日本で使われている整体の原型は、中国2千年前の「椎掌(すいな)」に由来するようです。 ここからは全くの推測でしかないのですが、奈良時代には按摩術が存在し、中国で2千年前には「椎掌」が存在していることを考えると、身体に何らかの痛みや凝りのような症状があったと考えることはできます。よく、人間が2足歩行に進化した時から腰痛がはじまったと言われますが、例えば、奈良時代を考えてみますと、その当時の人たちと、現代人では運動量も違うでしょうし、食べ物も違います。パソコンもなければ、車もありません。満員電車での通勤もなく、現代人のような過剰なストレスもないことを考えると、腰痛や肩こりの類は、温泉に浸かったあとで、撫でたりさすったりするだけでも、十分な効果を得られたのではないか・・・と想像できます。つまり、昔から腰痛はあったけれども、現代人の腰痛は身体が脆弱になった分、昔とは身体症状や腰痛の現れ方が違っているのではないだろうか・・・と考えた次第です。