腰痛ガイドライン

腰痛ガイドライン

世界各国で医療従事者に対する腰痛の治療ガイドラインが発表されています。
日本も発表されていますが、ヨーロッパのガイドラインが、腰痛は物理的・構造的・生物学的な損傷だけでなく、心理社会的な要因から生じる腰痛もあるとして具体的に治療ガイドラインを取り上げている点で優れているとされています。
(現在は日本のガイドラインにも「心因性腰痛」として取り上げていますが、ヨーロッパのガイドラインと比較すると少ない簡単な内容となっています。)

ヨーロッパのガイドラインでは、まず最初の診断で、急性・慢性腰痛ともに「重大な脊椎病変の可能性の有無のチェックをすることを勧告しています。
重大な脊椎病変とは、悪性腫瘍、脊椎感染症、骨折、解離性大動脈瘤、強直性脊椎炎、馬尾症候群などで、これらの病気から症状の一つとして「腰痛」が現れていないかをチェックします。
これらの原因による腰痛患者数は全体の5%と少ないですが、重篤な病気なので確認は必ず必要です。

これらの病気があるかないは以下の項目の確認で診断されます。
・発症年齢の確認。
・交通事故など、転落による打撲などの外傷歴の有無。
・痛みが進行し、常に痛みがあるかの確認。
・胸部痛の有無
・悪性腫瘍の有無。
・副腎皮質ホルモン(ステロイド剤)の長期使用有無、期間などの確認。
・麻薬など非合法薬物の静脈注射、免疫抑制剤の使用の有無。
・HIVポジティブかの確認。
・全般的な体調不良、原因不明の体重減少の有無。
・腰部の強い屈曲制限が持続しているかの有無
・脊椎を叩いたときの痛みの有無
・身体の変形の確認
・発熱の有無
・膀胱直腸障害とサドル麻痺(肛門や会陰部の感覚消失)の有無

これらに該当する場合は、画像検査や血液検査をして、脊椎病変の確認をするように勧告しています。

そして、これらに該当せず、腰痛が長引くときは、心理・社会的な要因をチェックするように勧告しています。

例えば、以下のような質問が行われその可能性が調べられます。
・腰痛の痛みへの恐怖心から、回避行動をとり続けている。
・腰痛で車椅子生活や寝たきりになるかもしれないと思っている。
・腰の痛みを消すのは、難しいと思っている。
・必要以上に長い時間の安静・休息をとったりする。
・日常生活で、いろいろな動作を避けているので運動不足である。
・治療者・治療方法・医療機器に依存心が強い。
・腰痛になってからよく眠れない。
・腰痛治療は行なわずに、安静を指示された。
・腰痛の診断や説明が病院などで異なり混乱した経験がある。
・技術的な治療法への期待感が強い。
・これまで受けてきた腰痛治療に対して不満がある。
・日常生活や仕事によって強くなる痛みに恐怖心がある。
・抑うつ状態が長く続き、楽しいと思えない。
・普段から、怒りっぽいほうである。
・気持ちを抑えられないほど、大きなストレスを感じている。
・仕事は腰に悪く有害なものだと信じている。

日本では、このヨーロッパのガイドラインは普及していないと言われていますが、一部の病院では、整形外科と心療内科が連携して腰痛の治療にあたっている病院も出てきています。
腰痛の8割以上が原因不明と言われているので、これからは、このような病院が増加してくるのではないでしょうか?