転倒時の大腿骨骨折 腰痛・ひざ痛も原因の一つ

転倒時の大腿骨骨折 腰痛・ひざ痛も原因の一つ

転倒したとき、人間の骨の中で一番太い大腿骨を骨折が急増していると言われています。
驚くことに大腿骨折は20年前の3倍、年間およそ15万人になっています。
高齢化社会が急速に進展しているとは言え、高齢者は3倍までにはなっていません。

問題が大きいのは、大腿骨を骨折すると、約5割の人が自力では歩行できなくなることです。
QOLが大幅に悪化します。また、本人だけでなく、家族など周囲の人にも大きな迷惑をかけることになるので注意が必要です。

中高年が急増していく中、寝たきりにもなりかねない転倒による大腿骨骨折をしっかり防止する必要があります。
この大腿骨を骨折させる転倒の原因が、ひざ痛、腰痛、骨粗しょう症、首の痛み、手足のしびれなどという報告が成されています。
ひざ痛、骨粗しょう症、足のしびれで転倒しやすくなるであろうことは理解できますが、腰痛、首の痛み、手のしびれは一見、関係がないように思えます。
また、骨粗しょう症は大腿骨のような太い骨であっても、骨折しやすくなることは一般的にわかります。

いずれにしても、これらの痛みや病気に対しては、痛みの緩和と同時に寝たきりになりかねない大腿骨骨折を招く転倒防止に気を付ける対策することが非常に重要になります。

高齢者が大腿骨を骨折しやすいのは、転ぶ方向が前方ではなく横方向で、かつ、その時に受け身をほとんど取ることができないで、腰を直接強打することになるからです。
腰を打って、大腿骨を骨折するのは、大腿骨の骨折が横方向や斜め後ろ方向に転倒した時に、最も起きやすく、更に、反射神経の衰えで、その時にとっさの受け身ができないことが転倒時の衝撃を大きくし大腿骨を骨折してしまうからのようです。
もちろん、腰にも大きなダメージを残すことでしょう。

では、なぜ、高齢になると受け身を取るなどの反応ができなくなってしますのか。
高齢になると、反射神経が鈍くなるのは当然ですが、その中でも、予期していない出来事に対する反射神経が、予期できる出来事に対する反応よりも、より遅くなること、そしてそのことを脳が認識していないことにあります。
若者と、高齢者では予期しない出来事に対する反応時間の差が大きく、予測される出来事に対する反応時間は、それほど大きくないことが実験でわかっています。
また、脳が衰えを感じていないことは、子供の運動会で親がリレーなどの短距離走に出場して走ると、多くの親が前のめりに転倒することが知られています。
これは、脳が昔の速く走れるイメージを持っていて走るのに対して、実際は身体が付いていっていないので前のめりになって転ぶと言われています。
同じことが転倒にも言えそうです。
足を上げてちゃんと歩いていると思っても、実際には足は思ったほど上がっておらず、つまずいて転ぶことが多くなるのでしょう。

転倒しやすい原因といて、これ以外にも筋力の低下もあるでしょう。
また、ちゃんと上げたと思っている足がなぜ上がっていなかったというと、手足にはメカノレセプター(機械受容器)という目の働きをするような感覚があって、それが脳に信号を送っていますが、それが若いころよりできていないことにも原因があります。

メカノレセプター(機械受容器)とは、靭帯、半月版、足の裏、関節包など存在し、手足などが、どの方向に、どの位曲がっているか、上がっているか、下がっているか、その速さはどれくらいかを判断する感覚のことです。
高齢になるとこの感覚が弱まって、脳と実際の行動が異なり、「思わずつまずいたりすることが多くなります。

腰痛、骨粗しょう症が転倒に影響するのは、姿勢がこれらの病気で悪くなり、その結果、重心が不安定になるからです。
首の痛みや手足のしびれは、神経系に障害が生じているので、反射神経をより遅くし、またメカノレセプター(機械受容器)による感知が正しく伝わりにくくなる理由で転倒しやすくなる可能性があります。

ひざ痛、腰痛など、これまでは痛みをとるためだけの治療が中心となっていますが、痛みがとれても、メカノレセプター(機械受容器)の機能や反応時間の衰え、脳の錯覚は治らないので、転倒リスクはほとんど低下しないで高いままです。
むしろ、痛みがあるほうが、注意して歩くので転倒防止になるかもしれません。

転倒しないように、高齢になるとこのようなことが身体に起きていることをしっかり認識し、生活をすることが転倒予防になります。

具体的には、転倒予防として以下のようなことに注意すると良いでしょう。
1)足元をしっかり見る
2)足元の小さな段差にもしっかり注意する
2.外出する際は時間に余裕をもってでかける
3.悪天候、夜間の外出は特に注意する、または控える
4.急な立ち上がりなど、急な動きは”めまい”のもとでもあり行わない
5.どんなときにもあわてないでゆっくり行動する
6.階段は、手すりをにぎって昇降する
7.転ばぬ先の杖を持つ
8.足にあった履物で足元を不安定にしない
9.バランス良い食事で、日ごろから体力づくりを行う
10.歩く前にストレッチをし、正しい姿勢でゆっくり歩く