腰痛とTMS治療

腰痛とTMS治療

紀元前、痛みの対処にはアヘンを用いたようです。シュメール人のくさび形文字で書かれている粘土板の発掘により分かったことです。その他には、マンドレークなどの薬草などが鎮痛剤として使われていました。古代アッシリア人はケシの汁を使い、バビロニア人は、傷みを伴う病気は罪の報い、悪魔の仕業と考えていて、「Pain」の語源にもなっているようです。

痛みの概念にも歴史があります。古代ギリシアの哲学者、アリストテレスは、痛みは感覚ではなく情動であるととらえていました。

17世紀に出てきたスピノザ(哲学者)も痛みを情動としてとらえました。その後、フランスの哲学者、デカルトは心身二言論を唱え、痛みは感覚(知覚)であると主張しました。それから、知覚に関する研究が進み、1979年には、痛みは、不快な感覚、情動体験と定義づけられ、痛みは、感覚でもあり、情動でもあると捉えられるようになり、1965年には、メルザックとウオールによるゲート・コントロール理論が出てきます。痛みには、修飾する系統がある。つまり、心穏やかな時、触る、押すなどの皮膚感覚への刺激により、ゲート・コントロールされている時は痛みが軽減され、強い精神的ストレスがある時や皮膚感覚への刺激が無い時(ほったらかされている時)は、本来の痛みより、それ以上の痛みを感じるということです。現在では、痛みを多層で考える(多層モデル)ようになっています。

多層モデルというのは、

・侵害受容(病理部位もしくは全体への治療=炎症部位などへの治療行為)

・疼痛の知覚(脳が痛みとして認識する=ペイン・クリニック)

・苦悩(痛みを知覚することで生じる、不快感、苦悩、不安、恐怖、抑うつ感情=認知療法)

・疼痛行動(苦悩や痛みを回避するため、もしくは、苦悩から生じる行動=行動療法)

この痛みの多層モデルは、認知行動療法の基礎となる考えといわれますが、うつ病の初期には、認知行動療法を治療に加えることで回復が早まるという実証報告もあります。

TMS理論」というのは、ジョン・E・サーノ博士が開発した理論で、「緊張性筋炎症候群」という意味だそうです。フロイトの抑圧理論に似ていて、不快な感情を意識から閉め出すことで精神的バランスを保つのですが、そのバランスが崩れると、形を変えて出現してきます。

ジョン・E・サーノ博士は、その不快な情動が痛みという形で出現すると考えたようです。    

TMS理論」における治療法は、客観的な疫学的データにより、腰痛に関する正しい情報を知ることを中心に、自分の心と向き合うために行動する。つまり、認知行動療法です。

しかし、無意識に閉じ込めた不快感情を引きずり出すことで、腰痛が軽減されるのならやってみる価値はあるのかもしれませんが、実際のところ、どうなのでしょうか・・・。