アポトーシス利用治療法(新たな腰痛治療の可能性)

アポトーシス利用治療法(新たな腰痛治療の可能性)

腰痛は、日本人の7割が一生涯の内に自覚すると言われるほど多い病気であり、高齢化が進展する中、高齢者の自立した生活や介護者の負担の面からも大きな問題となっていきます。

腰痛の原因を引き起こす原因となる背骨と背骨の間にあってクッションの働きをしている椎間板は、加齢によって退行変性していき、その機能を十分に果たさなくなり、腰痛、椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症などの病気の原因となります。
退行性変異に関しては、遺伝子変異が一部関与しているとの研究報告がありますが、その原因に関しては、十分解明されていません。
この椎間板の変性をコントロールできると、従来行われている外科手術に代わって、身体に負担の少ない低侵襲な治療法となります。
この方法に関して、北海道大学が動物レベルですが、椎間板細胞のプログラムされた細胞死であるアポトーシスに着目し、椎間板の変性変化を抑制することに世界で初めて成功しています。

椎間板の変性によっておこる障害に対しては、その治療には従来から脊椎固定や摘出などの外科手術が行われて、
一定の成果があがっていますが、より高齢者に対しては、外科手術では身体への負担などで、限界が指摘されています。
今後は、より身体に負担をかけない低侵襲な治療法が期待されています。

北海道大学は、椎間板細胞の変性変化にアポトーシス(プログラムされた細胞死)が関与していることを突き止
め、それを用いて、動物実験レベルでの治療に成功しています。
遺伝子レベルで、加齢による椎間板の変性をコントロールするという方法と思われます。
加齢とともに失われていくこれら椎間板の機能を細胞のアポトーシスという分子生物学的側面から治療することで椎間板ヘルニアに対する摘出術や金属を使用した外科手術に代わり、手術不要の低侵襲な治療法が期待できます。

腰痛の原因は椎間板以外にも多くの原因がありますが、高齢者にとっては、椎間板ヘルニアの比率が高く、また外科手術以外の治療法があることは高齢者には大きな助けとなります。

注)アポトーシス (apoptosis) :
アポトーシスとは、「プログラムされた細胞の自然死」のことです。
人間のような多細胞生物が、自身をより良い状態に保つためには、がんかされた細胞や、ウイルスに感染した細胞など放置することで害になる細胞を自らプログラムが起動して死滅させる仕組みです。
オタマジャクシがカエルになる際に尾を切り離すのもアポトーシスの一例です。

人間などの多細胞からなる生物では、新しく細胞ができる際に遺伝子のコピーミスが起こったりすることで、正常ではない異常な細胞であるがん細胞などが、1日に数千個もできたりしますが、これらは免疫細胞によって攻撃され死滅します。
因みに身体の免疫力が落ちたりすることで、がん細胞が分裂を繰り返しがんになる可能性が高くなります。

人間などの身体の仕組みは、それ以外にもがん細胞や異常な細胞が増えないように、アポトーシスというようなプログラムされた細胞死を用意しています。
多細胞生物では、がん化した細胞や、そのほかの異常細胞のほとんどは、アポトーシスによって取り除かれます。

尚、心臓がんがないのは、心臓の細胞は新たに細胞分裂しないので、遺伝子のコピーミスも起きず、がん細胞が生まれないまらです。
がんは、これらの仕組みによるがん細胞の抑制を超えて発生することで起こります。

人間は新しい細胞が生まれないと生きていくことができません。
しかし、そのために遺伝子のコピーミスという問題を抱えることになるという矛盾を抱えています。
心臓は細胞分裂しないので、多少の差はあるものの一生涯の心拍数に限度があると言われています。
像の心拍数はゆっくりであるので寿命が長く、ネズミの心拍数は早いので寿命は短いですが、その心拍数の一生涯での合計は、ほぼ同じと言われています。