腰痛診療のガイドライン「レッドフラッグ」

腰痛診療のガイドライン「レッドフラッグ」

腰痛は多くの人が経験する症状で、 腰痛診療のガイドラインが各国で発表されています。

多くの急性腰痛(ぎっくり腰)は自然に良くなりますが,医療機関を受診しなくてはならない目安として、ヨーロッパ腰痛ガイドライン中の腰痛診療の「レッドフラッグ」が一番参考となります。

理由は
・急性腰痛だけでなく、慢性腰痛にも踏み込んで取り上げている。
・腰痛の予防法が記してある。
・政治的な影響の度合いが低い。
・エビデンスに基づいて『こういう時は、こうすることを薦める』という具体的な『現時点で最も適切な勧告』がある。
などで、残念ながら日本版ガイドラインには一番大切な『勧告』がないのです。

レッドフラッグの具体的な項目は、下の通りです。
□ 発症年齢が20歳未満か55歳超
□ 最近の激しい外傷歴(高所からの転落、交通事故など)
□ 進行性の絶え間ない痛み(夜間痛、楽な姿勢がない、動作と無関係)
□ 胸部痛
□ 悪性腫瘍の病歴
□ 長期間にわたる副腎皮質ホルモン(ステロイド剤)の使用歴
□ 非合法薬物の静脈注射、免疫抑制剤の使用、HIVポジティブ
□ 全般的な体調不良
□ 原因不明の体重減少
□ 腰部の強い屈曲制限の持続
□ 脊椎叩打痛
□ 身体の変形
□ 発熱
□ 膀胱直腸障害とサドル麻痺

最初に腰痛患者を診断する時、急性・慢性のどちらにおいても、重大な脊椎病変(悪性腫瘍、脊椎感染症、骨折、解離性大動脈瘤、強直性脊椎炎、馬尾症候群など)の可能性があるかどうかをチェックしますが、その時に「レッドフラッグ」のチェック項目を使います。

患者数としては、全腰痛患者の5%以内と少数ではありますが、「レッドフラッグ」に該当した患者には、画像検査や血液検査をして、「重大な脊椎病変」の有無を調べるように、ガイドラインは勧告しています。

逆に、レッドフラッグに該当しない人であれば、0.04%程度で例外の可能性はありますが、まず「重大な脊椎病変」ではないと考えてよいようで、時が経てば、腰痛は自然に治ってしまうものだと、ガイドラインは捉えています。
このような症状を安全で自然に治る痛み「グリーンライト」と云っています。

腰痛が長引いている人は、心理社会的な要因があるとされ、「イエローフラッグ」 をチェックするように促しています。
「イエローフラッグ」は、「心の部分・社会の部分」で、実は、これこそが極めて重要なポイントとなることが多いのです。