【椎弓切除術】
脊柱管狭窄症が、脊柱管の数箇所以上にわたって起こっているときに行なわれます。全身麻酔をかけ、うつぶせの姿勢で皮膚を切開してから、腰椎についている筋肉を丁寧にはがして腰椎の背面を露出させます。切開する皮膚の長さは、脊柱管狭窄症を起こしている部位の数によって異なり、通常は6~10センチほど切開します。
次に、馬尾や神経根を圧迫している椎弓や椎間関節、靭帯を、それぞれの狭窄を起こしている脊柱管の椎骨ごとに切除していきます。また、腰椎椎間板ヘルニアを併発していて、馬尾や神経根を圧迫している場合には、ヘルニアも除去します。
【部分椎弓切除術】
狭窄の範囲が限局されているときは、椎弓の一部を切除して、そこから神経を圧迫している骨や靭帯を切除します。椎弓の窓のような小さな孔を開けることから、開窓術とも呼ばれています。
【日赤式椎弓形成術】
日本赤十字社医療センターの脊椎整形外科部で開発された椎弓形成術です。還納式椎弓形成術ともいいます。
何箇所も脊柱管狭窄症が起こると、脊椎の関節を構成している椎弓を広範囲に切除することになります。高度な狭窄がある病例では、そのために脊椎を支える骨が弱くなったり、神経がむき出しになることがあります。そこで、狭窄を起こしている脊柱管を広げ、さらに脊椎を支える壁をしっかり残すために、手術でいったんはずした骨を元に戻して椎弓を形成する手術を行なうことがあります。
日赤式椎弓形成術では、小豆大の骨専用の接着剤を使います。接着剤は、10分ほどでとけて固まり、椎弓が固定されます。半年も経つと、骨生に癒合します。術後は、翌日か2日後には歩けます。
手術後、約2ヶ月はコルセットをつけますが、日常生活では普通に動くことができます。入院期間は、2週間半ぐらいで、術後2週間で抜糸し、退院できます。軽い人は、抜糸の前でも1~10日で退院できますが、痛みが少しでもある場合は、抜糸するまで入院することになります。
日赤式椎弓形成術は、すべて保険診療できます。
通常の椎弓形成術によって脊柱管を広げるだけでもよい結果が得られますが、2年後、3年後、10年後の脊椎の変性、変形の進行を考えた場合、骨組織を最大限に温存できる日赤式椎弓形成術は、有利な術式であるといわれています